エルスケン 巴里時代 一九五〇-一九五四 Ed van der Elsken: PARIS 1950-1954
アムステルダムからパリまで500キロしか離れていない。1949年、夏のある日、24歳のオランダの写真家エルスケンは、ヒッチハイクでパリへ行こうと、故郷のアムステルダムをあとにした。背中には衣類と干し魚を入れたリュックサック、ポケットには硬貨1枚、首にはローライコードのカメラ。それにイルフォードのフィルム2本。持ち物はそれで全部だった。
オランダからパリの公営市場レ・アールへ新鮮な野菜や花を運ぶトラックを乗り継いで、その夜遅く、エルスケンはパリに入り、なんとかセーヌ河岸までたどり着いた。泊まる家はもちろん、ホテル代もない。まずはノートルダム寺院に近い河岸にたむろする浮浪者の群に腰を落ち着け、その晩はぐっすりと眠った。翌朝、目を覚ましてみると、リュックの中の干し魚がだいぶネズミにやられていた。
それからエルスケンは河の水につかって体を洗い、シャツを洗濯し、熱い夏の日射しでそれを乾かした。そしてパン屋へ行ってバケットを1本買った。その細長いフランスパンと干し魚をかじり、噴水の冷たい水で喉を潤しながら、こう考えた。「さて、どうするかな。どこから始めようか、パリ、おまえと2人で!」(本文より)
序文=篠山紀信
編集=アール・ヴィヴァン
装幀・レイアウト=坪内祝義
出版社 publisher:リブロポート/Libro Port
刊行年 year:1985
ページ数 pages:
サイズ size:H250×W250mm
フォーマット format:ソフトカバー/softcover
言語 language:和文/英文-Japanese/English
付属品 attachment:カバー/dust jacket
状態 condition:経年並みです。/good.