中国の写真家・徐勇の写真集。本書は1989年の北京民主化運動の当時の写真をネガのまま印刷している。ご存知この民主化運動は後に中国人民解放軍によって制圧される(六四天安門事件)。読者はiphone もしくはipadの色彩設定を"反転"にすることでポジ(陽画)として写真を見る事ができる。もちろん同じ機能を有した機材があればそれでも可能である。控えめなカバーデザイン、ネガ写真という体裁は、中国による検閲を回避するためと推測される。国内では容易に出版できない事情によるものだろう。中国民主化運動の貴重な資料として25年ぶりに日の目を見る事になった。
徐勇は1954年上海生まれ。1965年に家族と共に北京に移住する。1978年に河南洛陽工學院を、その後北京師範學院を1986に卒業した。卒業後はひとまずエンジニアとして働くが、以後広告会社のカメラマン、テレビ広告の撮影などをして生計を立てていた。1989年夏から1990年の春にかけて、北京中心地の古い住宅街「胡同」を撮り始めると当時に、天安門事件を経験したことから、徐々に広告の仕事から離れ、次第に自身の写真を確立するための時間を過ごすようになる。題材についての綿密な考えのもと、理性的な段取りで撮影を行い、決定的瞬間というよりも「社会の記録」、「感情の現れ」を写真に収めるのが彼のスタイルである。代表的な写真集に中国の地方の人々の暮らしや日常を撮影した『郷土中国』シリーズ(全4冊)、北京の「胡同」を撮影した『胡同101像』などがある。2014年には天安門事件(六四天安門事件)を撮った写真集『Negatives』を上梓、海外でも話題となった。
A photo book of Chinese photographer Xu Yong. This book is a negative print of the photographs taken at the time of the 1989 Beijing Democratization Movement. As you know, this democratization movement was later overwhelmed by the PLA (64th Tiananmen Square Incident). Readers can view the photo as positive by setting the color setting of the iphone or ipad to "reverse". Of course, it is still possible if there is equipment with the same function. The understated cover design and the appearance of negative photographs are presumed to avoid censorship by China. This is probably due to circumstances that cannot be easily published in Japan. It was the first time in 25 years to see the light of day as a valuable resource for the democratization movement in China.
序文:舒陽/Shu Yang
デザイン:劉松/Liu Song
出版社 publisher:新世紀出版及伝媒/New Century Media & Consulting
刊行年 year:2014
ページ数 pages:64
サイズ size:H251×W314mm
フォーマット format:ハードカバー/hardcover
言語 language:英文/中文-English/Chinese
付属品 attachment:カバー/dust jacket
状態 condition:経年並みです。/good.