戦後の濱谷浩(1915-1999)の仕事と言えば、戦前から継続して取り組んでいた日本各地の民俗文化の記録の結集でもある『
雪国』とその系譜的流れに位置づけられる『
裏日本』が代表作に挙げられる。本書は前作の日本を焦点とするものから一転、おとなりの中国に眼を向けた写真集。1956年9月から11月にかけて、一ヶ月半、解放後七年目の中国各地を旅行した際の写真で構成されている。濱谷は1940年と42年にも中国を旅しているので、これで三度目となるはずである。公式には中国人民対外文化協会の招待で、日本文化人中国訪問団の一員として参加した。広大な中国の全土とはいかないが、北京、杭州、上海など主要な都市はやはり訪れており、その土地に暮す市井の人々の生活や自然な表情を捉えている。濱谷氏の言う「ふだん着の中国」が見事に記録されているといえるだろう。グラビア印刷の美しい濃淡のある写真に加えて、手書き文字や大陸地図などを造本に組み込んだ高橋忠弥の装幀にも注目したい。
目次
序 井上靖
古い中国
広州
街 広東人 商売往来 蛋民の群
食在広州 街で見た喜びと悲しみと
上海
旧国際都市 上海の日曜日
西安
杭州
蘭州
カザック部落
包のできるまで 部落の人
ウルムチ
北京
首都北京 北京の人々 北京の胃袋
昨日も今日も 天橋の藝人たち 北
京舞踊学院 いろんな車
国慶節
前夜祭 園遊会 国慶節大行進
あとがき
装幀:高橋忠弥
出版社 publisher:河出書房新社/Kawade shobou shinsha
刊行年 year:1958
ページ数 pages:120
サイズ size:H313×W268mm
フォーマット format:ハードカバー/Hardcover
言語 language:和文/Japanese
付属品 attachment:函、帯、カバー、元パラフィン、/slip case、wraparound band, dust jacket, originally paraffin wrapper.
状態 condition:函、帯、元パラ少傷み。とはいえ経年並み程度かと。献呈署名本、落款あり。/slightly damaged, dedication signature from author to Japanese amateur photographer.