当時小学五年生だった古田幸(みゆき)さんは、突然脳出血によって母親を亡くしました。水泳大会に参加中だった彼女の母は、レース前のシャワー室で突如意識不明になり、その8日後に帰らぬ人となりました。母の死は家族に途方もないショックを与えました。ある日幸さんは「おかあさんのばか」という詩を書き、東京新聞で発表され、読者から大きな反響を得ました。
本書はその詩篇に心を動かされた細江英公が、講談社インターナショナルからの依頼を受けて制作した書籍で、著者の古田幸を被写体に撮られたヒューマニズム溢れる写真と、彼女が制作した詩が英訳され収録されている。細江にとっては『
おとこと女』、『
薔薇刑』に次ぐ三作目に位置される初期作品のひとつだが、現在ではあまり見ることのできない希少価値の高い一冊となっている。ちなみに同写真集は2004年に窓社より新装版『
おかあさんのばか』が刊行されているが、本書に見られる美しいグラビア印刷と洗練されたタイポグラフィが相交わった初版の魅力は未だに色褪せることはない。見返しには古田幸本人がおそらく恩師の先生に当てた献呈の署名が付されている。
ジャケットデザイン:M. Kuwata
翻訳:HAROLD P. WRIGHT
写真:細江英公
出版社 publisher:KODANSHA INTERNATIONAL LTD.
刊行年 year:1965 First Edition
ページ数 pages:63
サイズ size:H303×W218mm
フォーマット format:ハードカバー/hardcover
言語 language:英文/English
付属品 attachment:カバー/dust jacket.
状態 condition:カバー少傷み。献呈署名本。/slightly damaged on the dust jacket, dedication signature from author to her teacher Mr. Kimura.