パラダイス・イデオロギー 渡邉博史 写真集 Ideology in Paradise Hiroshi Watanabe 署名本 signed
ある著名な歴史家オーヴィル・シェルは朝鮮民主主義人民共和国の首都ピョンヤンを訪れた経験を、それはまるで「はるかかなたにある博物館を訪れ、そこで過去の時代の生活ではなく、それよりずっとすばらしく風変わりな世界ー北朝鮮の未来の幻覚ーにもとづいて細密に作られたジオラマを拝見するようなものなのだった」と例えている。
実際、渡邉博史のイメージを見ることは、まるで社会主義のリアリズム絵画のなかに足を踏み入れるような不思議さがある。アコーディオンを弾く赤らんだ頬の少女、よく見る指導者の肖像と北朝鮮の旗の下で派手なピンクやグリーンの伝統的な衣裳をまとって渦を巻くように踊る踊り子たち。それは拉致や、軍事パレードや、飢餓のストーリーの代わりに、まるで北朝鮮の生活が実際これらのイメージのフレームの中そのもののように「ノーマル」であるように見えるようだ。渡邉にとってまさにこの間に存在する緊張感ー日本とアメリカのメディアに氾濫しているニュース・ストーリーと彼が専属の二人のガイドとドライバーに注意深く見られながら旅をして写真に収めた経験の間にあるテンションーそれこそが彼がこの題材においてもっとも興味をもっていたことなのではないだろうか。人をひきつけてミステリアスなその写真は、この閉鎖された国のある局面を示し、ぞくぞくし注目せずにいられないような人間たちを紹介し、私達を不思議な思いにみちびいていく。(本文より)
レスリー・マーティン
装丁=高崎勝也(JDSグラフィック)
出版社 publisher:窓社/Mado-sha
刊行年 year:2008
ページ数 pages:119
サイズ size:H255×W207mm
フォーマット format:ハードカバー/hardcover
言語 language:和文/英文-Japanese/English
付属品 attachment:カバー/dust jacket
状態 condition:サインあり。特に問題なく良好です。/signed, very good.