東京モダン 1930~1940 師岡宏次 写真集 TOKYO MODERN 1930-1940 Koji Morooka
1930年(昭和5年)から、1940年(昭和15年)までに撮影した写真を集めて、この本を作った。題名をずいぶん考えたが、結局『東京モダン』ということで落ち着いた。いまでは古くなったモダンという言葉に、私達の若かった昭和はじめのロマンがあった。
私はかつて昭和47年に『想い出の東京』という写真集を出版し、昭和48年に『想い出の銀座』、昭和51年に『想い出の武蔵野』と、過去をふり返る仕事を多くしてきた。反省はしてみたが、いま私が新しく撮影を続けている仕事よりも、こうした過去の、自分だけしかわからない仕事を整理することが、自分の生きるいちばん意味のあることのような気がしてきた。それはこれから写真界にどんな名人が出てきても、こういう過ぎ去ってしまった昔は、絶対に撮影することが出来ないからである。そういう記録という意味もあって、この本の写真のすべてが、必ずしも自分の満足のいくものばかりではないが、あえて加えたものもある。
私は日本の写真界に小型カメラが使われるようになった昭和初期から、小型カメラと共に生きてきた。それは写真に、文学とは違った表現で人間を記録する新しいジャンルを作った。私はライカに始まった35mm判カメラを、50年近くも使い続けていて良かったと思う。それは便利な機能のカメラなので、たくさん撮影が出来たことと、ネガのサイズが統一されていて、保存に都合がよく、いま私の持っているネガは全部あわせると10万枚近くなるだろう。その中に私の生きてきた過去がある。そして、その写真がいろいろの生き方をする。
この『東京モダン』に写っているものは過去である。だが、これをまとめることによって、実は若い人達にも、よびかけているつもりである。そういう意味で、古い素材を使っての前向きの仕事と自負している。
1981年1月 師岡宏次 (序文より)
目次
山の手・下町
スピード時代
海へ山へ
銀座のクリスマス
戦争の足音
装丁:谷川晃一
編集:長谷川明
レイアウト:師岡宏次
出版社 publisher:朝日ソノラマ/Asahi Sonorama
刊行年 year:1981
ページ数 pages:155
サイズ size:H300×W220mm
フォーマット format:ハードカバー/hardcover
言語 language:和文/Japanese
付属品 attachment:函/slip case
状態 condition:経年並みです。/good.